社長の経営分析

社 長この数字だけは
最低限押さえておいて下さい!!

貸借対照表

(注)
① 長期借入金があるのに、流動負債の中に「一年以内返済長期借入金 」が無いときは、その長期借入金残額のうち翌期首から一年間で返済する元金の額を固定負債から引いて、流動負債に足してください。
② 負債の中に、社長からの借入金で返済する予定のないものついては、流動負債、固定負債から差し引き純資産に加えてください。
③ 受取手形、売掛金、貸付金等で回収出来ない金額、在庫のうち販売出来ない金額、固定資産のうち時価が著しく低下している金額は、流動資産、固定資産の金額から引いて、同額を純資産の金額からも差し引いてください。

自己資本比率

この比率は、次の算式で計算されます。

この比率は、自社が財務的にどの程度安定しているか、つまり倒産する危険性が高いか、低いかを見る究極の指標です。

判定
70%以上理想企業
40%~69%優良企業
20%~39%普通企業
0%~19%要注意企業
0%未満破綻懸念企業


改善方法
①自己資本は、資本金と利益から構成されていますので、増資と利益を増大すること。
②総資産の中で、会社の営業上必要でないものを売却して総資産の額を減少させる。含み益のあるもの等を売却して、利益を出すこと。

流動比率

流動比率は会社の支払能力を見る指標です。

小切手、支払手形を使用している場合には、非常に重要な指標です。
つまり、小切手、支払手形が不渡りとなれば即倒産ということです。

判定


100%未満要注意企業入金予定の少しのずれが資金ショ-トとなる危険な状態にある。
150%前後理想企業
200%以上優良企業短期資金について不安の無い状態。

改善策
・売上代金の回収サイトより仕入代金の支払サイトを長くする。
・在庫の金額を可能な限り少なくする。
・売上代金の回収不能に備えて、倒産防止共済に加入する。
・投下資金の回収に長期間要する投資の資金は、自己資金か長期借入金でまかなう。

経営安全率

売上が何パ-セント落ちたら収支トントンになるか、いわゆる売上減少にどのぐらい耐えられるかの指標です。
自社の経営余裕度は常に把握していたほうがいいと思います。
決算書の損益計算書を見て次のかっこ内に金額を入れてみてください。

・変動費とは、売上が発生しないと発生しない費用、商品販売業における販売した商品の仕入代金、製造業における材料費、包装材料費、消耗品費などをいいます。
・AとBのパ-セントを計算してかっこ内に記入してください。

(注)AとBの合計が100%になるように調整してください。

経営安全率は次の算式で計算できます。


参考例
株式会社 秋田商店
野菜、果物小売業
年商  2億円
限界利益率 25%
固定費年額 45百万円
税引前当期利益 5百万円
(注)固定費は、販売費、一般管理費、営業外費用の合計から営業外収益を差し引いたものです。

判定

0%以下欠損企業です。売上アップ、限界利益率アップ、固定費削減を実行して黒字化をめざしましょう。
1~5%経営の安定性が不十分です。まだまだ努力の必要があります。
6~15%一般的な数値ですが、大口の売上先との取引が無くなると赤字に転落する可能性がある段階です。20%超を目指してがんばる必要がある数値です。
16~30%経営安定性を確保した数値です。優良企業とされる30%超を目指しましょう。
30%超経営安定性が極めて高い優良企業。

設備投資額の大きい事業を営んでいる社長は必ずチェック(固定長期適合率)

会社は損益トントンでいいのでしょうか。(必要利益)

会社は損益トントンでいいのでしょうか?
㈱秋田商事の当期の状況は次のようでした。
・税引後当期利益   300万円
・当期減価償却費   150万円
・前期とほぼ同じ業績でした。
・売掛金、商品在庫、買掛金の各残高はほぼ前期末と同じでした。
・土地、建物、車両等の購入資金として借入した返済元金が当期 一年間で500万円ありました。
・支払資金が不足したので社長から50万円借入ました。

疑 問
利益が300万円もあるのになぜ社長から借りなければいけなかったのか。

答 え
当期の経営から借入金の返済資金は
300万円+150万円=450万円 生じたこととなります。
(減価償却は直接支払を伴う経費でないのでプラスします。)
よって、当期返済財源は450万円生じましたが、銀行には500万円返済しなければいけないのですから50万円資金不足となり、社長から借入しなければいけなくなったのです。

教 訓
土地は取得しても建物のように減価償却ができないので、土地購入資金の借入金の元金返済資金は、税引き後の利益となります。だから、土地は自己資金で購入しないと借り入れ返済のときに苦労が多いということになります。